鍼治療もさまざま
こんにちは。笹井 宏です。
今回は、あまり効果がなかった鍼治療について、書いてみたいと思います。
1、 治療院を探し回る
① 治療院を追い返された思い出
2、 オーダーメイドの治療
3、 治すのには、患った期間と同じ時間がかかるといわれたこと
1、 治療院を探し回る
「お客さん、申し訳ないのですがこんな固い体を揉んだら指がもちません、後の商売ができなくなってしまいます。客商売としてこんなことは言いたくはないのですが、帰ってくれませんか」
体を少し触っただけで、マッサージ師に追い返されたのは、1度や2度のことではありませんでした。
そんな私に、鍼治療が光明をもたらしてくれたのです。
しかし、三重県の田舎に住んでいた私は、足繁く神戸まで通うことはできません。家の近くの、鍼の治療院を探し回りました。といっても、50数年も前のことです。職業別電話帳から探すくらいしか思いつきませんでした。
2、 オーダーメイドの治療
今回は、これまでのようにどんな施術をするかもわからずに、「あそこ、よかったで」と、噂だけを頼りの治療院ではありません。はっきりと効果を自分の体で確かめた鍼治療でしたので、期待感もありました。
「お前に効いたんなら、私もいっしょに治療してもらう」という、肩こらしの母子は、電話帳の最初に載っていた治療院に向かいました。
その治療院は、見たところ普通の家と変わりませんでした。現在ではまずお目にかかれない、待合室も治療室も畳敷きでした。けれども、当時はそんな治療院も珍しくはありませんでした。
一通りの治療が終わり、玄関を出るなり「神戸の先生と比べてどうやった? 効いたか?」と、母親は尋ねました。その時、私は肩や首、背中に神経を巡らしていたところでした。
「うーん、どうやろな。ましにはなった気がするけど、ちょっと違うな。
前はこっているとこに鍼を刺すと、【効いてる】【入ってる】と感じたんやけど、今度の先生は通り一遍の、誰にでもやってる治療を、流れ作業のようにやってた気がすんね」
「母さんも、特別に効いたという気はせえへんな」
医学にも経絡にも素人の私ですが、神戸の治療院では治療する前に症状を詳しく聞いてくれて、いわゆるオーダーメイドの私だけの治療をしてくれたように感じたものでした。
3、 治すのには、患った期間と同じ時間がかかるといわれたこと
2日後に同じ治療院を訪れました。
「気分はどうですか?」と尋ねる先生に対して、
「うーん、まだわからないですね」と、私は正直に答えました。
「あのね、治療というものは、患った期間と同じ期間治療せんと、良くならんものなのですよ。1回、2回で焦らずに、じっくりと通ってください」
私は、その治療院には行かなくなりました。