こんにちは、笹井 宏です。
私は昔、催眠術のスペシャリストの診断を受けたことがあります。
催眠術のスペシャリストなんて言うと、薄暗い部屋で怪しげな術を行う、うさん臭い人を想像されるかもしれません。
私も後で知ったことですが、あちこちから講演依頼もきている、広く知られたその道の権威だったそうです。
1、 疑わしい催眠術
2、 身体中の緊張が溶け出してゆく
3、 重くて、指1本も動かない
4、 完全なるリラックス
5、 自己実践
1、 疑わしい催眠術
ある人に紹介されてその人と出会ったのですが、
その紹介してくれた男性は、睡眠障害や便秘、倦怠感その他の病気で悩んでおられたそうです。
数回その人の治療を受けることにより、それらの障害がすっかり解消したとのことで、「うさん臭ければ、止めればいいや」と思い、とりあえず1回だけ会ってみることにしました。
診断を受ける前に、そのスペシャリストはテスト生を呼んで、私と紹介者の前で実演を見せてくれました。
最初は「目をつぶりなさい」とか、聞きなれたセリフ。見慣れたスチュエイションでしたが、佳境に入ってくると、「手を振りなさい」と、言うと、テスト生の手がフラフラと揺れます。
「もっと強く!」と命令すると、手が激しく揺れます。
「もっと強く!」と命令すると、千切れるほど手が揺れます。
でも、こんなのは術者と被術者が示し合わせておけば、できることです。
2、身体中の緊張が溶け出してゆく
私の番です。
スペシャリストは、「手を振れ」とは言いませんでした。
ベッドに横になると、
「身体のすべての力を抜いてください。あなたの身体から緊張が溶け出して、ベッドに吸い込まれていく状態を連想してください。」
「まず、頭です。なんにも考えないで結構です。ただゆたっとして、頭から力が抜けていくのを実感してください。」
「次は首です。あなたの首の、後側の筋肉の力が抜けていきます。」
「次は、首の横の筋肉の強張りが溶けていきます」
「そして、肩です」
という具合に、具体的に身体の部位を指摘していきます。
こちら側も別に抵抗する気持ちはなかったので、先生の指摘された身体の部分の力を抜いていきました。
「あなたの身体は今、本当にリラックスしています。心もリラックスしています。」
「あなたには何の不安もありません。体中の力が抜け、ゆたっとしています。
雲の上に乗っているようで、体重さえも感じません」
その時、私の身体からは本当に力が抜けていました。
3、重くて、指1本も動かせない
「手の平が重くなってきました。そう、右の手の平です。」
「今度は右の肘が重くなってきました。途轍もない重さです。床にめり込むほど重いです」
と、今度は次々に部位を支持され、重みを感じていきました。
「体中が鉄のように重いです。もう、指1本すら動かすことができません。……試しに、意志の力で動かそうとしてみてください。」
本当に、動きませんでした。
4、完全なるリラックス
「あなたの足首が軽くなっていきます。」
今度は重かった足が、嘘のように軽くなっていきました。
先生の指定する部位は段々と上がってきて、ついに顔まできました。
「顎の力が抜けていきます。」
頬、目から後頭部、側頭部、頭頂部まできました。
「あなたは今、体重さえ感じないくらい軽いです。そのまま浮き上がってしまいそうです。完全なるリラックスです」
すべてが終わるまで、小一時間くらいだったでしょうか。
「首を回してみてください」
「肩を回してみてください」
「頭が重かったのも、治ったでしょう。頭痛もしないでしょう」
先生の仰る通りでした。
薬を使った訳でもなく、物理的な刺激を与えた訳でもないのに、身体中がいままで感じたことがないくらい、軽くなっていました。
5、自己実践
5回目でした。
「大分やり方が分かってきたと思いますので、これを毎晩寝る前に自分でもやってください。
楽になる筈です。睡眠薬に頼らなくても、眠れるようになります。肩こりや首コリ、背中や腰痛も楽なるはずです。」
実は先生に言われるまでもなく、3回目の治療が終わった時から、実践していました。
自己暗示というか、自己催眠というのかよく分かりませんが、やった後は不思議なくらい筋肉がほぐれているのです。
先生の指示通り、寝る前、蒲団の中で実践していました。
気分のよい状態で、筋肉が弛緩した状態で、気持ちよく眠りにつけました。
この方法の1番の利点は、費用がまったく掛からないことです。
自分に暗示をかけるだけですから、他人の手をわずらわせることもありません。
肩こり、首コリに悩んでおれられる方は、すでに何らかの方法で治療を行っておられるでしょうが、ぜひ、この方法も試してみることをお勧めします。
もしかしたら、あなたの期待以上の効果が得られるかもしれませんよ。